トヨタ自動車が14年ぶりのトップ交代を決めた。創業家出身の豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就く。豊田氏が白羽の矢を立てたのは、自身と二人三脚で「いいクルマ造り」を進めてきた佐藤恒治執行役員(53)。100年に1度とされる激動期にある自動車業界。豊田氏はトップの若返りによる経営革新を決断した。

豊田章男社長は経済危機のさなかに就任。コスト構造にメスを入れるなどしてトヨタの稼ぐ力を押し上げた
豊田章男社長は経済危機のさなかに就任。コスト構造にメスを入れるなどしてトヨタの稼ぐ力を押し上げた

 関係者を驚かせた交代発表。だが、伏線はあった。2022年6月の株主総会で後継者に関する質問を受けた豊田氏は、後継者の条件として「(経営理念の)トヨタフィロソフィーやTPS(トヨタ生産方式)といったトヨタの『思想』『技』『所作』を身に付けている人」などと答えた。

 さらに、「トヨタの思想と技を継承し、『あなたは何屋さんですか?』と聞かれたとき、『私はクルマ屋です』と答えられる人材を育てることが、私のミッション。時間はかかったが、何とかここまで来ることができた」と述べ、涙を浮かべた。

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