物価上昇を尻目に、民間金融機関を中心に変動金利型住宅ローンの貸出金利が低下している。金融機関が借り手を激しく奪い合い、最安金利は年0.3%前後の水準に押し下げられている。本来なら長期金利に沿って上昇する固定金利型住宅ローンの金利にも競争は飛び火しつつある。

 民間金融機関の間で変動金利型住宅ローンの金利引き下げ競争が激しくなっている。10月の消費者物価指数が前年同月を3.6%上回るなど物価高で家計の負担は増えている。そんな中、毎月の住宅ローン返済額を抑えようと動く人が増え、金融機関が囲い込みを急いでいる。

 仕掛けたのはauじぶん銀行だ。6月から金利引き下げキャンペーンを展開し、携帯電話契約などの条件を満たせば最低で年0.2%台の変動金利を提示。新生銀行も新規借り入れを対象に0.45%から0.35%に下げた。住信SBIネット銀行やPayPay銀行などネット銀行を中心に、競争に拍車がかかっている。

 「採算ぎりぎりの金利水準だが、契約件数を増やせば金利収入の落ち込みはカバーできるし、(金利とは別に借り手から徴収する)融資手数料も増える」。あるネット銀行の融資担当者はこう本音を明かす。

 結果、固定金利型ローンとの金利差が広がっている。住宅ローン比較サイト「モゲチェック」を運営するMFS(東京・千代田)によると、35年固定型ローンの11月の金利は1.54%。変動金利の平均値0.44%との差は1.10%と、この3年間で最も大きくなった。

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 固定型ローンの貸出金利は長期金利におおむね連動する。世界的なインフレ傾向で日本の長期金利にも上昇圧力がかかり、固定金利は昨年以降、上昇基調だ。一方、変動金利は政策金利に連動する「短期プライムレート(短プラ)」と呼ばれる期間1年未満の貸出金利を参照する。日本銀行のマイナス金利政策が続く中では、変わらない状況が続く。

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