イーロン・マスク氏が買収したツイッターが、全従業員の約半分を解雇する大規模なリストラに揺れている。筆者はサンフランシスコで、大量解雇よりも前に会社を追われたエンジニアに話を聞いた。一連の買収劇に関する風刺画をマスク氏に手渡したというその元社員が解雇された舞台裏とは。

洗面台(シンク)を手にツイッター本社を訪れたマスク氏。「Let that sink in(よく考えて深く理解しよう)」にかけたジョーク(写真=Twitter account of Elon Musk/@elonmusk/AFP/アフロ)
洗面台(シンク)を手にツイッター本社を訪れたマスク氏。「Let that sink in(よく考えて深く理解しよう)」にかけたジョーク(写真=Twitter account of Elon Musk/@elonmusk/AFP/アフロ)

 「1週間前までは働くのが楽しかったのに……。すべてが変わった」

 11月9日夕方、筆者は米サンフランシスコ市内で米ツイッターから解雇されたばかりのエンジニア、エマニュエル・コーネットさん(通称「マニュ」)に会った。解雇を通達されたのは11月1日。イーロン・マスク氏による買収完了が10月27日だから、同氏がいかに早く社員削減に着手したかが分かる。取締役9人全員は27日夕までに解任された。

 社員の解雇通達が始まったのは11月3~4日。テスラからやってきたチームがどの部門の誰を対象とするかを検討し、ツイッターの人事部門などと連携して作業を進めたという。ではなぜマニュ、具体的にはもう一人の男性社員との2人はそれよりも前に解雇されたのか。

マスク氏に手渡した風刺画

 マニュは2021年7月にツイッターに入る前から少し名の知られた存在だった。その前に勤めていたグーグルで、同社の経営者や経営状況を風刺するイラストを描いてSNSなどに投稿していたからだ。辛辣な内容が問題視されたこともあったが、解雇までには至らず、ツイッターでも同様の扱いを受けていた。

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