総合商社大手5社の2022年4~9月期の業績は絶好調で、4社が過去最高益を更新した。三菱商事は23年3月期の純利益が商社として初めて1兆円に到達する見通しだと発表した。資源高、為替の円安、世界的なインフレが追い風となったが、好業績には死角が潜んでいる。

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 「1兆円を超えたといって、何か(誇るなど)というのは毛頭ない」。三菱商事の中西勝也社長は11月8日の記者会見で淡々と語った。

 すげない反応とは裏腹に、同社の上期の連結純利益は前年同期のほぼ2倍の7200億円。通期の予想純利益8500億円に対する進捗率は8割超に達した。これを受けて同社は通期の予想純利益を前期⽐9.9%増の1兆300億円に上⽅修正した。

 上期の好業績の最大の要因は資源⾼だ。三菱商事は資源の中でも鉄鋼⽣産に使う原料炭に強い。新型コロナウイルス禍からの景気回復過程で粗鋼生産が増え、同社が手掛けるオーストラリア産原料炭の価格指標は3月に史上最高値となる1トン当たり約670米ドルをつけた。4月以降、価格は下落したが、足元は300ドル前後で推移する。

 コロナ禍前は「200ドルを超えると高値圏」(関係者)とされていただけに、今も貢献度は大きい。金属資源部門の稼ぎは上期の純利益の半分近くを占めた。

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