シダックスの祖業である、給食事業を巡る争いが混迷を深めている。創業家の意向を受けてオイシックス・ラ・大地がTOB(株式公開買い付け)を始めたが、取締役会が反対を表明。異例の「敵対的TOB」となった背景には、3年前に出資した投資ファンドと創業家の「離婚協議」のもつれがある。

敵対的TOBを仕掛けるオイシックス・ラ・大地の高島宏平社長(右)と、TOBに反対するシダックスの柴山慎一取締役(左)(写真=左:陶山 勉、右:厚地 健太郎)
敵対的TOBを仕掛けるオイシックス・ラ・大地の高島宏平社長(右)と、TOBに反対するシダックスの柴山慎一取締役(左)(写真=左:陶山 勉、右:厚地 健太郎)

 事の起こりは3年前に遡る。カラオケ事業から撤退するなど経営不振に陥ったシダックスは2019年、老舗投資ファンドのユニゾン・キャピタル(東京・千代田)から資本注入を受けた。ユニゾンは取締役を派遣して構造改革を進め、病院内売店やエステ、ワイナリーなどの不採算事業を次々に売却。5期連続最終赤字を脱し、ついに21年3月期に黒字転換を果たした。

 業績を回復させた後、株の売却益を得るのがファンドのビジネスモデルだ。創業家とユニゾンはあらかじめ「離婚契約書」を結んでいた。創業家はいつでもユニゾンに株の売却を求められる。買い取り額の下限は22年6月末までは80億円、7月以降は100億円。ユニゾンが出資した40億円に対し、少なくとも「2倍」のリターンを保証した。

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