JFEスチールが脱炭素への羅針盤を示した。岡山県にある高炉1基を大型電炉に転換する。2030年度に二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比3割削減するため、総額約1兆円を投じる。50年の脱炭素に向けてはさらに巨額の投資が不可欠だが、収益力の向上という課題を抱えたままだ。

「2030年までを移行期と考え、複線的に低炭素技術を確立していく」。9月1日、JFEスチールの北野嘉久社長は戦略説明会でこう力を込めた。当面の目玉となるのが、西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)の第2高炉の電炉転換。27~30年に改修を控えていたが、脱炭素時代を前に高炉として存続させることは「現実的ではない」と判断、27年にも新たな電炉を稼働させる。
電炉では鉄スクラップを溶かして鋼を生産する。高炉は鉄鉱石を石炭由来のコークスで還元する際に大量のCO2を排出する。一般的な試算では、電炉は高炉に比べ鉄鋼生産1トン当たりの排出量が4分の1程度にとどまるとされる。倉敷地区での電炉転換によって同社全体のCO2排出量の5%相当(年約300万トン)を削減する計画だ。
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