ホンダは電池大手の韓国LGエナジーソリューション(LGES)と北米で電気自動車(EV)向け電池を合弁生産する。ホンダとして初となる電池工場建設に両社で約44億ドル(約6100億円)を投じ、現地での電池調達体制を整える。これまで電池への投資を最低限に抑えてきたホンダだが、北米EV市場の成長を見据えて競争に本格参戦する。

合弁工場の生産能力(電池の容量ベース)は最大約40ギガワット時で、一般的なEVのおよそ50万~60万台分に相当する。生産する電池はすべてホンダの北米工場に供給する。2025年中の量産開始を目指す。
ホンダは新EVプラットホーム(車台)「e:アーキテクチャー」を採用した新型車の発売を26年に計画しており、そのための電池の調達にめどが立ったと言えそうだ。
今回のLGESとの合弁会社の設立は、ある意味で「既定路線」といえる。ホンダは北米の電動化戦略で米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を深めてきた。GMのEVプラットホームを採用した北米向けの共同開発車を24年に発売するほか、世界市場を狙う量販価格帯EVも27年に導入する計画。生産設備も共通化を進め、両社合わせて数百万台規模のEV生産体制を整える方針を示している。
車載電池の「地産地消」進む
そのGMが電池調達で組んでいる相手こそ韓国LG化学から分社した電池メーカー、LGESだ。分社化前からの通算では、両社は10年以上も密接な関係にある。GMはバッテリー生産の合弁会社、米アルティウムセルズを19年にLGESと設立済み。オハイオ、テネシーなど3州で、電池工場の建設を進めてきた。

アーサー・ディ・リトル・ジャパンの鈴木裕人マネージングパートナーは「GMとの連携を強めている以上、ある意味で予定調和的な話ではある。北米でも電池の確保が焦点になってきているため、ホンダにとって一歩前進」と指摘する。
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