日野自動車によるエンジン試験の不正は小型トラックにも対象が広がり、国内向けの全車種が出荷停止になった。50%強出資する親会社、トヨタ自動車の豊田章男社長は日野自に自己改革を迫る異例のコメントを公表した。子会社化から約20年、日野自の自主経営を尊重してきた「適温関係」は子の裏切りによって揺らいでいる。

 拡大する不正に、親会社のトップとして痛恨の思いがあったのだろう。トヨタ自動車の豊田章男社長はコメントを発表した。「日野自動車が新たな不正発覚により、ステークホルダー(編集部注:利害関係者)の皆様の期待や信頼を再度、大きく損なう事態に至ったことは、同社の親会社としても、株主としても、極めて残念に思います」

 日野自の小木曽聡社長が不正に絡む会見で豊田氏のコメントを紹介することはあったが、トヨタがプレスリリースでコメントを出したのは初めてだ。8月24日には、トヨタ自身のほかいすゞ自動車、スズキなどの共同出資で商用車の技術開発を目指す枠組みから日野自を除名した。

 エンジン不正が発覚したのは3月。特別調査委員会の報告書が8月に公表され、日野自は少なくとも2003年から不正を重ねていたことが明らかになっていた。今回は国土交通省の立ち入り検査によって、小型トラック向けのエンジンで新たな不正が発覚。これで現行の14車種すべてが不正対象になった。

 今回不正が発覚したエンジンは、日野自がトヨタにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する商用車「ダイナ」などにも使われており、トヨタの事業にも直接的に影響する。

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