ロシアによるウクライナ侵攻など次々と世界経済に襲いかかる危機を受け、新興国が窮地に立っている。エネルギーや食品の価格が急上昇。世界的な利上げの動きによって資金流出の圧力にもさらされている。広域経済圏構想「一帯一路」を掲げ、新興国を積極支援してきた中国との関係の先行きも不透明だ。

7月、群衆によって占拠されたスリランカの大統領公邸。大統領(当時)は国外に脱出して辞任した(写真=AP/アフロ)
7月、群衆によって占拠されたスリランカの大統領公邸。大統領(当時)は国外に脱出して辞任した(写真=AP/アフロ)

 真っ先に危機が顕在化した国は南アジアのスリランカだった。主力の観光業が新型コロナウイルス禍で落ち込んだところにインフレと通貨安に見舞われた。外貨は急減し、7月には首相が国の「破産」を宣言した。同月9日には大統領公邸が群衆に占拠され、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(当時)は国外に脱出して辞任。政権は崩壊した。

 「人々は文字通り飢えている」(スリランカのシンクタンク、アドボカタ研究所のムルタザ・ジャフジー会長)。経済の立て直しは焦眉の急だが、身の丈を超えた借金が首を絞める。同国財務省によれば、政府の対外債務は2021年4月末の段階で351億ドル(約4.7兆円)に上る。

「一帯一路」で債務が拡大

 問題視されているのは、ラジャパクサ前大統領の兄、マヒンダ・ラジャパクサ氏が大統領に就任した05年以降に積み上がった債務だ。開発を急ぐ同大統領は広域経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国を頼った。

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