環境負荷の低減という社会ニーズに応えるため、航空機産業にも電動化の波が押し寄せている。直近の国際的な航空機イベントでは、実用化を目前に控えた“電動”航空機が相次いで展示された。欧米の新興企業に加え、ホンダやデンソーなども培った電動化技術を武器に新市場へ参戦している。

航空機が「電気の力」で飛び始めた。2022年7月、航空業界の大型イベントである英国の「ファンボロー国際航空ショー」と米国の「EAAエアベンチャー オシコシ」では、モーターやインバーター、電池などを推進系にして飛ぶ電動の航空機が関心を集めた。既存の内燃機関エンジンに比べて温暖化ガスの排出削減や燃費の向上、騒音の低減が見込めるためだ。50年に温暖化ガス排出量の実質ゼロを掲げる航空業界にとって、電動航空機は「持続可能な航空燃料(SAF)」に並ぶ重要な技術となる。
航空系のスタートアップも勃興している。米ベンチャーのアンペアは、既存の6人乗り小型機を改造した電動航空機をデモ飛行させた。内燃機関とモーターを併用するハイブリッド型の機体だ。米西海岸のロサンゼルスをたって中継地で着陸後、中西部のオシコシの会場まで延べ約3000kmを飛行。このうち約1800kmを連続で飛び、その実力を示した。アンペアは24年にも型式証明を取得し、実用化を目指す計画だ。

機体に搭載した電池の電力のみで飛行する「フル電動型航空機」の開発も進む。オーストリアのダイヤモンド・エアクラフトは、既存の小型機を基にした機体に電動推進系を搭載。オシコシ会場ではその電動推進系のモックアップを出展した。
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