6月に約2カ月にわたった大規模ロックダウン(都市封鎖)が明けた中国上海市。その後も消費意欲が大きく戻っている様子はなく、H&Mの旗艦店などが閉店を余儀なくされた。中国政府はゼロコロナと経済の両立を目指す姿勢だが、経済成長が鈍化する中で明確な解は見えない。
夏本番を迎えた7月中旬。ナイキやアディダス、無印良品といったブランドの路面店が立ち並ぶ上海市中心部を訪れると、ある大型店の扉が閉じられていた。
スウェーデンのカジュアル衣料大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の旗艦店だ。2000年代にオープンした中国本土における第1号店だったが、6月下旬にひっそりと閉鎖した。赤いブランドロゴマークは外されており、1カ月たった現在も新たなテナントは入居していない。

ロックダウンがとどめを刺す
閉店した理由をH&Mの中国法人は明かしていないが、大きく2つの要因があるとみられる。
一つが中国・新疆ウイグル自治区産の綿花に関する人権問題だ。同社がいち早く新疆綿の不使用を表明したことで中国世論が反発。不買運動へとつながった。
もう一つの理由はロックダウン(都市封鎖)だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、上海市は3月末から実質的なロックダウンを実施。約2500万人の人口を抱える大都市の都市封鎖は約2カ月間に及び、住民は生きることに苦難を強いられた。
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