武田薬品工業は、成人の体内から抽出して培養・増殖した細胞を用いる「細胞医薬」の国産化を図った。スペインからの技術移転にはコロナ禍の行動制限が壁となったが、拡張現実(AR)技術でクリア。日本からアジア各国への供給も視野に入れているもよう。細胞医薬市場拡大への期待がうかがえる。

スペインの支援で立ち上げた大阪工場内の細胞処理室
スペインの支援で立ち上げた大阪工場内の細胞処理室

 消化管に炎症が生じて下痢や腹痛、血便などを引き起こす「クローン病」という病気がある。武田薬品工業が2021年11月に日本で発売した「アロフィセル」は、クローン病の合併症が進んで生じる複雑痔瘻(じろう)を対象とした治療薬だ。

 アロフィセルは、健康な成人の脂肪組織から抽出し、培養・増殖した間葉系幹細胞を用いる「細胞医薬」だ。18年に武田薬品が買収したベルギーのスタートアップであるタイジェニックスが開発した。欧州では18年3月に承認を取得。日本では武田薬品が臨床試験(治験)を行って21年9月に承認を取得し、米国でも臨床試験中だ。

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