シャープの株価が低迷している。現在重しになっているのは液晶パネル会社の完全子会社化だ。保有株を全て売却する計画だったが、正反対の方向にかじを切って6月下旬に外部の株も取得した。パソコンや自動車の中型パネル強化を目指すが、市場関係者は再び海外勢との消耗戦になると懸念する。

 シャープの株価は7月中旬時点で1000円台前半にある。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収直前の水準だ。年初からは2割安い。

シャープの株価は買収前の水準に
シャープの株価は買収前の水準に
出所:QUICK・ファクトセット

 6月23日、鴻海出身の呉柏勲CEO(最高経営責任者)が社長にも就任、代表取締役の肩書を得て新体制がスタートしたが、「ご祝儀相場」は訪れていない。

 市場がこのところ懸念しているのは、6月27日に完全子会社化した堺ディスプレイプロダクト(SDP)のことだ。

 シャープはSDP株を2割持っていたが、残りの8割を海外ファンドから約400億円相当の株式交換で取得した。SDPは主にテレビ向けを生産している。シャープはテレビ依存を脱し、中型パネルの用途を広げる方針だが、市場関係者はその展望を懐疑的に見ている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り753文字 / 全文1209文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。