2017年、トヨタ自動車とマツダが米国に合弁工場を設立すると発表し、業界を驚かせた。トランプ米前大統領の“ツイッター砲”に背中を押された格好だが、人件費の高い米国で採算を合わせるのは難しい。稼働を始めた生産現場を訪れると、それでも成立させようとする両社の「苦悩」が見て取れた。

 トヨタ自動車とマツダが約23億ドルを投じて、米アラバマ州に建設した新工場「マツダ・トヨタ・マニュファクチャリング・U.S.A.(以下、MTM)」。稼働は2021年9月だが、新型コロナウイルスの影響もあり22年7月7日、初めてメディアに公開された。

 新工場建設の決断は17年8月。トヨタの豊田章男社長とマツダの小飼雅道前社長が記者会見を開いたときは筆者も現場にいた。折しもトヨタはスズキやSUBARU(スバル)など、日系自動車メーカーとの提携を急速に強化していた。「マツダともここまでするのか」と驚いたものだ。

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現場を見て感じた違和感

 だが、経緯をよく知る関係者は決断の理由をこう振り返る。「そうするしかなかった」──。

 一つはトランプ前大統領の存在がある。同氏は同年1月、ツイッターで「トヨタがメキシコに工場を建設すると言っている。米国向けのカローラを造ると。とんでもない!米国内で造るか、高い関税を支払え」と攻撃していた。日系メーカーはかつて痛烈な排除運動を受けた過去がある。“ツイッター砲”の直後、トヨタは5年間で100億ドルを米国で投資すると発表した。

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