この記事は日経ビジネス電子版に『「大麻解禁」に沸くタイ、規制緩和がもたらすのは富か災いか』(7月1日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』7月11日号に掲載するものです。

6月9日、タイは規制する麻薬リストから大麻を除外し、個人が栽培したり、使用したりすることを解禁した。タイ政府は段階的に規制を緩和しており、世界的に拡大が見込める大麻産業に食い込もうともくろむ。ただ、思い切った規制緩和の陰で乱用防止への取り組みの遅れを不安視する声もあり、危うさは拭えない。

 タイの首都バンコクに外国人旅行者やタイの若者が集う「カオサンロード」と呼ばれる通りがある。そこに最近、緑色の移動販売車が毎晩やってくる。周りには人だかりができている。買い求めているのは大麻だ。

バンコクのカオサンロードで人気を集める大麻の移動販売車
バンコクのカオサンロードで人気を集める大麻の移動販売車

 「リラックスしたいならこの種類の大麻、気分を高揚させたいならこれ。お茶にして飲んでもいいし、吸ってもいい」(販売員)。価格は1gで1000バーツ(約3800円)。決して安くはないが、「売り上げは1日で10万バーツに達することもある」。

 タイ政府は6月9日、規制する麻薬のリストから大麻を除外した。20歳以上であれば、届け出するだけで家庭で大麻を栽培できる。葉や茎などに加え、幻覚など向精神作用のあるテトラヒドロカンナビノール(THC)の含有率が0.2%以下の大麻抽出物を健康や医療目的で販売・使用することもできる。ただし公共の場で喫煙したり、許可なしに食品や化粧品などを生産・販売したり、0.2%を超えるTHCを含む抽出物を所持・流通させたりすることは禁止だ。

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