この記事は日経ビジネス電子版に『「食べログ」に賠償命令、点数の「ブラックボックス」にメス』(6月17日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』7月4日号に掲載するものです。

東京地裁は6月16日、グルメサイト「食べログ」を運営するカカクコムに損害賠償金3840万円の支払いを命じた。飲食店の評価点を算出するといった「アルゴリズム」の妥当性をめぐる司法判断は初めてとされる。プラットフォーマーの競争力の源泉であるアルゴリズムについて説明責任が問われるきっかけとなりそうだ。

「食べログ」は個人店に光を当てて成長してきた。それがチェーン店の軽視につながったのかもしれない(写真=ユニフォトプレス)
「食べログ」は個人店に光を当てて成長してきた。それがチェーン店の軽視につながったのかもしれない(写真=ユニフォトプレス)

 カカクコムを訴えていたのは焼き肉・韓国料理チェーン店「KollaBo(コラボ)」を運営する韓流村(東京・港)。同社の主張によれば、食べログがアルゴリズムを2019年5月に変更したことで、韓流村の21店舗の点数が平均約0.2点、最大0.45点下落。それによって食べログ経由の来店客が毎月約5800人減少し、売上高は月額約2500万円落ちたという。韓流村は20年5月、食べログが独占禁止法に違反しているとして6億円超の損害賠償を求めて提訴した。

 東京地裁は今回の判決で「食べログが著しく不利益な要請を行っても、(飲食店は)受け入れざるを得ない状況にある」と指摘。アルゴリズムの変更は韓流村に対して「あらかじめ計算できない不利益を与える」などとして、優越的地位の乱用による独禁法違反を認定した。韓流村の代理人を務める皆川克正弁護士は判決を受けて、「AI(人工知能)時代における巨大プラットフォーマーによるアルゴリズムを用いた行為について独禁法違反の有無を争う極めて先駆的な訴訟だ」と強調した。

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