ブロックチェーン(分散型台帳)技術を軸としたウェブ3.0は、GAFAが牛耳ってきたウェブ2.0を変えるといわれる。そうした変化の中、新たな組織の運営形態として注目されているのが「DAO(ダオ、分散型自律組織)」だ。特定のリーダーを設けずに意思決定を行うDAOの革新性に、起業家や投資筋が大きな期待を寄せている。

店舗の運用に、特定のリーダーを設けず意思決定するDAOを導入した大東樹生氏(写真=エリオット・アレキサンダ)
店舗の運用に、特定のリーダーを設けず意思決定するDAOを導入した大東樹生氏(写真=エリオット・アレキサンダ)

 サンフランシスコ市庁舎から徒歩5分。カフェなどが立ち並ぶヘイズバレー地区の一画で、7月の開店に向けて準備を進める雑貨店が一風変わったメッセージを掲げた。

 「ここはDAOで運営する店です」

 店舗のドアには「店が独自に発行したNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を持つメンバーによる投票で店の方針を決める」と掲示がある。掲示板にはカード状の白い枠があり、スマートフォンをかざすとウオレットのアプリでNFTが取得できる。こうしてNFTを保有する者はこの店の方向性を決める議論や運営に参加できる仕組みだ。

強い共同体を持つ店舗に

 同店を手掛けるのは大東樹生氏(21)。NFTを活用した事業を展開する米キノミスを立ち上げ、ベンチャーキャピタルなどから累計7000万円を集めた人物だ。「リアル店舗にふれあいを求める人は多い。DAOを取り入れることで、かつてない強固なコミュニティーを持つ店舗を生み出せる」と大東氏は語る。

(写真=エリオット・アレキサンダ)
(写真=エリオット・アレキサンダ)

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