この記事は日経ビジネス電子版に『中間層復活へ岸田首相も意欲 「出世払い奨学金」は実現するか』(5月24日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月6日号に掲載するものです。

岸田文雄首相が、教育機会の平等といった観点から「出世払い奨学金」の創設に意欲を示している。収入が一定水準に達してから返済を始める制度で、現在検討されている所得水準の目安は年収300万円以上。返済開始となる所得水準を引き上げた方が制度の柔軟性は高まるが、勤労意欲をそぎかねないなど課題も多い。

教育未来創造会議の会合であいさつする岸田文雄首相(写真=共同通信)
教育未来創造会議の会合であいさつする岸田文雄首相(写真=共同通信)

 「人への投資を通じた成長と分配の好循環を教育、人材育成でも実現することは、新しい資本主義の実現に向けて喫緊の課題だ」。5月10日に開催された政府の「第3回教育未来創造会議」の席上で、岸田文雄首相はこう語った。同会議は国の教育政策の在り方を検討するものだが、その中で「奨学金制度の拡充」が目玉政策として挙げられている。

 背景にあるのが、親の所得が子どもの教育環境に影響を与え、学力や学歴といった教育成果に差が付いてしまっている現状だ。東京大学に進学する学生のうち、親の年収が950万円以上である人が約6割を占めるなど、「所得格差は教育格差」と捉えられるデータが近年、相次いで公表されている。中間層の復活を政策の柱に掲げる岸田政権は、格差の再生産を避ける意味でも教育機会は平等であるべきと考えたといえる。

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