この記事は日経ビジネス電子版に『日本製鉄、過去最高益も慢心なし 今期もトヨタと激しい価格交渉に』(5月18日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月30日号に掲載するものです。

日本製鉄は2022年3月期、旧・新日本製鉄と旧・住友金属工業の経営統合後の最高益を計上した。業績改善への「一丁目一番地」としていた値上げの効果が表れたが、橋本英二社長はまだ満足していない。円安もあって原材料が一段と高騰する中、最大顧客であるトヨタ自動車との価格交渉は今期も激しくなりそうだ。

 「点数をつけるなら90点」──。

 橋本社長は5月10日の記者会見で、2022年3月期(前期)の決算をこう自己評価した。本業のもうけを示す連結事業利益は前の期比8.5倍の9381億円に達した。鋼の錬金術があったわけではない。復調の原動力は不退転の決意で臨んだ値上げだ。

 前期に出荷した鋼材の平均価格は1トン当たり11万7000円と前の期比37%上昇。原料炭や鉄鉱石の調達コスト増を鋼材価格に転嫁させた結果としてマージン(利ざや)を確保。この要因が事業利益全体の増加額のうち2450億円を占めた。

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