この記事は日経ビジネス電子版に『製造業、高揚感なきV字回復 20年ぶり円安水準も先行きに不安』(5月24日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月30日号に掲載するものです。

円相場が対ドルで20年ぶりの円安水準となっても、輸出主体の製造業は先行き警戒感を緩めない。世界景気の腰折れ懸念に加え、輸入物価の上昇で日本経済が打撃を被る「悪い円安」への不安が募る。受益者とみられてきた製造業で「円安歓迎論」が盛り上がらない事態は、産業構造の変質を象徴する。

(背景写真=左:つのだよしお/アフロ)
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 「円安の恩恵を享受できるが、望んでいるのは安定。急激に(円相場が)右に、左に振れるよりも安定するのが一番大事だ」。5月12日の決算会見で、2023年3月期(今期)の連結営業利益が前期の2倍以上になるとの予想を発表したSUBARU(スバル)の中村知美社長は、こう強調した。

 為替レートの前期実績は1ドル=112円。今期は1ドル=120円を想定し、スバルでは為替差益が800億円超の営業増益要因となる見込みだ。それでもなお決算発表当日の実勢からは9円前後も円高の水準だ。今期、米国市場での販売が好調な上、円安は言うまでもなく追い風になる。なのにトップに浮かれる様子はない。

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