この記事は日経ビジネス電子版に『住民強制退去させ隔離施設に転用も、限界近づく上海封鎖の深刻度』(4月19日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月2日・9日号に掲載するものです。

大規模ロックダウン(都市封鎖)が長期化する中国上海。住民と警察の衝突や、ペットの撲殺事件も発生するなど市内の不満は高まりつつある。中国最大経済都市の機能がマヒする中で、経済への影響も深刻化し始めた。

上海市内には新型コロナウイルス感染者の集中隔離施設が急きょ設けられた(写真=AFP/アフロ)
上海市内には新型コロナウイルス感染者の集中隔離施設が急きょ設けられた(写真=AFP/アフロ)

 上海市東部の浦東新区で警察と住民が衝突する映像が4月14日、中国のインターネット上で拡散した。当局がマンションの住民を強制退去させ、新型コロナウイルスの隔離施設に転用しようとしたためだ。防護服を着た警察官が抗議する住民をねじ伏せる姿に「そこまでするのか」と上海市民の間に大きな動揺が走った。

 この話には伏線がある。数日前、同地域に中国共産党中央政治局委員の孫春蘭氏(副首相)が訪れていたのだ。4月2日に上海入りし、市内各地を回り感染防止を指揮する。だが、上海の1日当たりの市中感染者数は、4月18日までに12日連続で2万人を超えた。先の見えない「ゼロコロナ」政策に、殺伐とした空気が流れている。

 上海市トップの李強書記が市内を視察時には、住民から詰め寄られる映像が拡散。李書記は習近平国家主席と近く、次期首相候補との呼び声が高い。中国で政府の上層部が庶民から直接批判されるのは異例だ。

 4月上旬には、隔離された感染者のペットを当局担当者がシャベルで撲殺する事件も起きた。中国では「無害化」と呼ばれ、昨年から問題視されていた。中国の感染症専門家は「ペットからコロナが感染するというエビデンスはない」と指摘しているが、現場は過剰な対策に走っている。

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