この記事は日経ビジネス電子版に『三菱重工、新型原子炉で水素量産 鉄鋼メーカーの脱炭素後押し』(4月22日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月2日・9日号に掲載するものです。

三菱重工業が「高温ガス炉」と呼ばれる次世代原子炉を使った水素の量産技術の開発に乗り出す。原子炉で発電しながら、同時に原子炉から出る熱を活用して水蒸気などから水素を生成する。輸入資源に依存しない安定電源の確保と脱炭素を両立させる選択肢として、技術の確立を急ぐ。

JAEAの大洗研究所にある高温ガス炉の試験研究炉の内部(写真=築島 斉)
JAEAの大洗研究所にある高温ガス炉の試験研究炉の内部(写真=築島 斉)

 三菱重工と国の日本原子力研究開発機構(JAEA)が、まずJAEAの大洗研究所(茨城県大洗町)の敷地内に水素製造の実証プラントを新設する。事業規模は約300億円とみられる。2022年に基本設計に入る。

 水素製造には原子炉の一種である高温ガス炉を利用する。水を沸騰させて原子炉が発する熱を取り出す「軽水炉」と呼ばれる現行原発とは構造が異なり、ヘリウムガスで最高950度の熱を取り出す。この熱を利用しながら高温蒸気とメタンを反応させて水素をつくる。

 ヘリウムガスは他の分子とは化学反応しない性質を持つ不活性ガスの一つ。「(原子炉内で)水を使わないので水素爆発や水蒸気爆発は原理的には起きない」(JAEA)とされ、従来の原子炉に比べて安全性の面で優れる。

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