この記事は日経ビジネス電子版に『物価高騰の緊急対策、財源巡り自民・公明が綱引き その舞台裏とは』(4月12日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月25日号に掲載するものです。

原油や物価の高騰を受けた緊急対策の財源を巡り、自民党と公明党の綱引きが続いている。自民党は参院選後の補正予算案編成を想定しているのに対し、公明党は今国会での補正予算成立を主張。両党幹部間のパイプが細くなる中、公明は支持母体の強い意向を受けており、先行きは不透明だ。

岸田首相(右)と公明党の山口代表(写真=共同通信)
岸田首相(右)と公明党の山口代表(写真=共同通信)

 岸田文雄首相は3月末、緊急対策を4月末までに策定するよう関係閣僚へ指示した。(1)原油高対策(2)食料・資源高対策(3)中小企業支援(4)生活困窮者支援──がその柱。過去最大となる2022年度予算が3月22日に成立したばかりだが、今夏の参院選を控え、消費者や企業への影響を軽減するのが狙いだ。

 政府・自民党執行部は財源として22年度予算の総額5兆5000億円の予備費を充てる考えだ。岸田首相や自民幹部は緊急対策を決めた後に大規模な経済対策をまとめ、参院選後にその裏付けとなる22年度補正予算案の編成を想定している。

 補正予算案審議のために予算委員会を開けば野党の攻勢を受けかねない。野党が政府案より注目されるような具体策やより大規模な予算措置を打ち出す可能性があるほか、参院選前に補正予算が成立すれば自民党を支持する業界団体の動きが緩むといった事態を警戒しているためだ。

 これに対し公明党幹部は補正予算を今国会で成立させるべきだとの主張を繰り返している。山口那津男代表は「急激な国際情勢の変化、物価高、新型コロナウイルス対応も視野に入れ補正成立を図るべきだ」と重ねて主張。国会後の参院選で「政治空白」が生じる可能性を指摘する。

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