この記事は日経ビジネス電子版に『住友化学、原油高で一息つく「お荷物」 誤算のサウジ2兆円プラント』(4月14日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月25日号に掲載するものです。

住友化学が出資し、2009年から操業するサウジアラビアの石油化学プラント「ペトロ・ラービグ」。総事業費2兆円の大型プロジェクトで将来性が期待されたが、業績は低迷し、累積損失を抱え込んでいた。だが、ここにきて流れが反転。原油高につながった外部環境の変化を受けて、息を吹き返しつつある。

住友化学は円滑な投資回収を目指す(ペトロ・ラービグの石化プラント)
住友化学は円滑な投資回収を目指す(ペトロ・ラービグの石化プラント)

 ペトロ・ラービグは住友化学とサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが37.5%ずつを出資する合弁会社だ。ガソリンなどの石油製品のほか、ポリエチレンやポリプロピレンといった石化製品を製造してきた。

 経団連会長も務めた当時の住友化学社長、故・米倉弘昌氏の肝煎りで進められた。だが安定操業や収益化のめどがなかなか立たず、市場関係者らから「お荷物」などと指摘されることも少なくなかった。2020年度(20年12月期)、ラービグの最終損益は約1270億円の赤字に沈んだ。

 その後、需要の回復などで業績は改善したが、21年9月末でも累積損失は約400億円に上っていた。住友化学にとっては大きな誤算となった。減資と増資はこの累損解消と財務体質の強化を図る目的で、21年12月に打ち出されていた。

 そんなラービグに関して住友化学は22年4月5日、予定していた減資のみ中止すると発表した。ラービグの業績が改善し、累積損失額が当初想定よりも大幅に縮小する見通しとなったことが理由だという。

次ページ ウクライナ侵攻が転機