この記事は日経ビジネス電子版に『大日本印刷、スマホで鍵開閉「デジタルキー」 車のソフト化に商機』(4月1日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月11日号に掲載するものです。

印刷大手の大日本印刷(DNP)がデジタル技術を生かし、自動車分野で新事業を始めている。本人確認をデジタル上で行う「デジタルキー」などを提供、車のソフトウエア化の流れに乗る。情報の保護という強みを生かした事業基盤の構築は、どこまでうまく進むだろうか。

DNPはスマホで鍵を開けるデジタルキーなどで自動車分野を開拓(写真=d3sign / Getty Images)
DNPはスマホで鍵を開けるデジタルキーなどで自動車分野を開拓(写真=d3sign / Getty Images)

 「行ってきます」。家の鍵を閉めたスマートフォンで、車の鍵を開ける。出勤途中で、街中にある宅配ボックスの荷物もスマホをかざして受け取る──。

 DNPは、スマホ1台で様々な鍵を開閉できる「デジタルキープラットフォーム」サービスを手掛けている。トヨタ自動車が出資する部品メーカー、東海理化と開発を進めている。

 4月、両社は社用車の予約・管理、デジタルキーの提供を組み合わせたサービスを始める。プラットフォーム自体は2021年から提供。東海理化の電波制御技術と、DNPのセキュリティー技術などを融合させている。

 DNPがデジタルキーを手掛けている理由は、1876年の創業以来、印刷物を扱ってきた歴史にある。

 DNPは印刷物に載せる情報を企業から受け取り、管理する。未発表の新車のカタログ、個人名や住所を記載するダイレクトメールなど様々だ。サイバー攻撃から守ったり、社内からの情報漏洩を防いだりする安全対策は事業の根幹に関わる。

 現在、力を入れているのが認証・セキュリティー事業だ。「本当に他人ではなく本人が情報にアクセスしようとしているか」といった認証関連の技術を提供しており、デジタルキーはその一例。特に車分野での応用を目指している。

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