この記事は日経ビジネス電子版に『中国人がそれでもロシアのプーチン大統領を応援する心理』(3月10日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』3月28日号に掲載するものです。
ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領に対して、世界中から非難の声が上がっている。そんな中、一部の中国の人々はなおプーチン大統領やロシアを支持する姿勢を見せている。だが、ロシアを擁護すれば中国も国際社会から批判を浴びる。中国の外交上の矛盾が浮き彫りになっている。
「世界にまだロシアの友人はいるのか?」。ロシア国営メディアに問われたロシア外務省のザハロワ報道官は2月28日、こう答えた。「もちろんいる。中国だ」
ウクライナを侵略し、一般市民にも多くの犠牲者を出しているのみならず、核兵器の使用までちらつかせるロシアのプーチン大統領。国際社会からの孤立を深めるロシアだが、中国とは外交面で蜜月関係にある。

「ロシア加油(がんばれ)!」。中国のソーシャルメディア上では、こうした書き込みも珍しいものではない。世界各国でロシア製品のボイコットが盛り上がる中で、中国のネット通販大手のロシア製品を扱うショップで商品が完売する現象も起きた。
中国でもウクライナの一般市民が被害を受けていることは伝えられており、多くの市民は同情的だ。中国東北部出身の20代の女性は「もちろん戦争はよくないとみんな思っている。ウクライナの一般市民はかわいそうで胸が痛む」と話す。ただし、「普通の人は国際政治のことをあまり詳しく考えない。プーチン大統領のような勇ましさを前面に出した発言をする指導者を、好ましく受け止める人も少なくない」と付け加えた。
特にトランプ氏が米大統領に就いてから培われてきた反米感情が、こうした意見を後押ししている。日本人から見れば、プーチン大統領の言動は国際秩序を真っ向から否定する、ならず者にしか見えない。だが、中国人は、米国主導でつくられた国際ルールの中で虐げられてきたという被害者意識を刺激されるようだ。
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