この記事は日経ビジネス電子版に『優等生スバルに思わぬ死角 部品不足が「成功方程式」崩す』(3月1日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』3月7日号に掲載するものです。

SUBARU(スバル)は2022年3月期、国内自動車主要7社の中で唯一、減収減益となる見通しだ。世界的な半導体不足による販売減の影響をカバーできず、業績の反転は来期以降に持ち越しとなる。スバルの成長を支えてきた「選択と集中」があだとなって、逆境を乗り越えるすべを見いだせないでいる。

日本で販売する主力車種「レヴォーグ」
日本で販売する主力車種「レヴォーグ」
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 スバルは今期通期の連結業績について、売上高が前期比5%減の2兆7000億円(従来予想は3%増の2兆9000億円)、純利益は2%減の750億円(同44%増の1100億円)を見込む。いずれも2月に下方修正した。このタイミングで両方を下方修正したのは国内の自動車主要7社の中でスバルだけだった。

 業績回復の遅れには大きく2つの理由がある。一つは半導体不足による減産の長期化だ。水間克之CFO(最高財務責任者)は「選択と集中を進めてきたが、断面を切り取ると影響がある。我々の宿命だ」と話す。稼ぐ力を高めるために進めてきた車種の絞り込みや部品の共通化が足元では副作用を生んでいる。

 通期の予想生産台数も撤回し、非開示とするほど不透明な状況に追い込まれている。「操業への影響は今期中には解消したいが、半導体不足は構造的な問題。来期以降への影響は精査中だ」。水間氏はこう話すのが精いっぱいだ。

 もう一つの理由は、スバルにとっての主戦場である米国で、利益を上乗せする余地が限られる点だ。

 足元、米国は需要の回復に車の供給が追いつかない「売り手市場」となっている。半導体不足で供給制約を抱える自動車各社は生産台数を増やしにくいが、生産した車はあまり値引きをしなくても売れる。その分、販売店での値引きのために費やしてきた「販売奨励金」を圧縮でき、利益が押し上げられている。

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