この記事は日経ビジネス電子版に『欧州の「対コロナ戦」が転換点に 感染者急増でも封鎖より共生』(2月7日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月14日号に掲載するものです。
欧州では昨年後半から新型コロナウイルス感染が急拡大し、10~12月期の累計感染者数は1800万人に達する。それでも厳しい規制導入は限定的で、同期のユーロ圏の経済成長率は前期比0.3%増(速報値)となった。フランスは感染拡大期にワクチン接種者の行動制限を緩和し、コロナとの共生の道を歩み始めている。
1月中旬の午後、フランス・パリでレストランに入った。店内はほぼ満席。案内された席は隣の座席の人に手が届きそうなほど密集し、店員はテーブルの隙間を忙しく歩き回る。まさしくコロナ前の日常そのものだ。
フランスでは多くの飲食店が屋内での着席人数を制限していたが、通常営業に戻っている。1月のセールの時期に当たる百貨店は、買い物客でごった返していた。コロナ前よりもまだ少ないかもしれないが、かなり客足が戻っているようだ。
フランスでは、2021年後半から新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。特に変異型「オミクロン型」がまん延した21年末からは1日当たりの新規感染者数が50万人を超える日もあった。それでも入院患者数や重症者数は従来の感染拡大期より増えていないため、ロックダウン(都市封鎖)を導入しなかった。
新規感染者数が数十万人を連日記録している中でも、むしろ規制を緩和している。2月2日には屋外でのマスク着用義務を撤廃し、週3回の在宅勤務の義務も推奨に切り替えた。

感染対策と経済活動の両立の肝にしているのが、ワクチン接種証明だ。フランスでは飲食店への入店時に接種証明の提示が義務になっている。このルールを守らない飲食店はほとんどない。小さなカフェに入店した際にも、証明書の提示を求められた。
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