この記事は日経ビジネス電子版に『CES 2022からの報告(1)(3)(4)』(1月5日~7日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』1月24日号に掲載するものです。

ソニーグループが電気自動車(EV)への参入を本格的に検討すると表明した。米国のテクノロジー見本市「CES」で、吉田憲一郎会長兼社長CEO(最高経営責任者)が試作車を披露した。技術を結集した「走るスマホ」に、同じくEV参入を狙う米アップル追撃への覚悟が見えた。

<span class="fontBold">ソニーグループの試作EV第2弾「VISION-S 02」。様々な情報を映し出す画面の意匠やアクセルの効果音などをスマホで設定できる</span>(写真=左:AP/アフロ)
ソニーグループの試作EV第2弾「VISION-S 02」。様々な情報を映し出す画面の意匠やアクセルの効果音などをスマホで設定できる(写真=左:AP/アフロ)
[画像のクリックで拡大表示]

 「安全に移動しながら娯楽も楽しめる、その両方を満たす領域に商機がある。2年前の発表後、大きな反響があり、それが私たちを勇気づけてくれた」

 吉田憲一郎社長は1月4日、CESでそう語り、続けて「2022年春に新会社ソニーモビリティを設立し、ソニーEVの事業化を検討する」と宣言。20年に発表した試作EVの第2弾となる「VISION-S 02」を披露した。

高品質なエンタメ空間

 実車に乗り込んでみると、まさに「走るスマホ」だった。5つの横長ディスプレーが運転席から助手席まで広がる。左右両端の画面はサイドミラーの役割を果たす。中央の3つの画面には運転に関する情報を示し、映像コンテンツの視聴やゲームにも使える。運転の邪魔にならないよう、中央画面と助手席前の画面はスワイプして入れ替えられる。シートにはスピーカーが埋め込まれている。

 スマートフォンのアプリから車両の「テーマ」も設定できる。テーマごとにパネル表示の意匠やアクセルを踏んだときの効果音が変わる。気分や好みに合わせた「着せ替え」ができる点も、スマホに近い。

 車の「目」の役割を果たす自社製CMOS(相補性金属酸化膜半導体)などのセンサーを40個搭載し、車内外を監視することで安全性を確保する。ソニーは自社の先端技術を惜しみなく投入した。

 新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染者が急増する米国に、吉田社長が自ら乗り込んでEV参入を発表したことにも、事業化への並々ならぬ意欲と覚悟がうかがえる。何がそうさせたのだろうか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1679文字 / 全文2553文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。