この記事は日経ビジネス電子版に『分断のCOP26、脱石炭や脱エンジン車の有志連合で日本は守勢に』(11月16日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』11月22日号に掲載するものです。

11月13日に閉幕した第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は、立場の違いが鮮明になった。石炭廃止については、合意文書の採択直前にインドが強く反対し、「段階的に削減」という表現に修正された。ただ、特定の国や企業が脱石炭や脱エンジン車で有志連合を結成し、日本は蚊帳の外に置かれかねない。

<span class="fontBold">米国のケリー大統領特使とインドのヤダフ環境相は、COP26の会議終盤に話し込んだ</span>(写真=AP/アフロ)
米国のケリー大統領特使とインドのヤダフ環境相は、COP26の会議終盤に話し込んだ(写真=AP/アフロ)

 「開発や飢餓撲滅に取り組まなければならない途上国が、石炭火力の廃止は約束できない」──。COP26の会期を1日延長した11月13日午後。英国のシャーマ議長が最後の全体会合で合意文書の採択をとろうとした直前に、インドのヤダフ環境相が異議を申し立てた。

 電源構成の7割を石炭火力が占めるインドにとり「廃止」は受け入れ難かった。同じく石炭火力比率が高い中国も反対に回る。COP26は決裂するかもしれない、そんな雰囲気が広がった。ヤダフ環境相とのやりとりでは、シャーマ議長が慌てていた様子がうかがえる。

石炭、「廃止」から「削減」へ

 休憩後、インドは「石炭火力を段階的に削減する」とする表現を提案。欧州連合(EU)諸国や島しょ国など脱石炭に力を入れる国々から「失望した」という声が上がるものの、最終的には合意文書の成立を優先し、「グラスゴー気候合意」は採択された。

 採択に当たり、シャーマ議長は「このプロセスについて深く謝罪する」と語り、壇上で涙を見せて悔しさをにじませた。だが、議長を務めた英国にとっては悪くない成果だったかもしれない。こだわり続けた脱石炭について合意文書に1つの道筋が明記され、今後のCOPの土台になるからだ。合意文書には、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える努力を追求することが改めて盛り込まれ、2022年末までに30年の削減目標を再検討することを明記した。

 新たな潮流として目立ったのが、テーマごとに有志連合を結成する動きだ。英国は脱石炭や脱エンジン車など、分かりやすいテーマでの合意づくりを仕掛けた。

 脱石炭については、先進国が30年代まで、世界では40年代に石炭火力を廃止する声明を発表。英国のほか、ドイツやポーランド、韓国、インドネシアなど46カ国が賛同した。

 一方で日本や中国、インド、米国、オーストラリアなどは賛同しなかった。いずれも電源に占める石炭火力の比率が高く、代替が簡単でないためだ。昨今の世界的な需給逼迫により発電用石炭の価格は急騰し、中国は増産を決めている。石炭を含めた多様なエネルギー源が不可欠との認識が強まっていることも背景にある。

続きを読む 2/3 無視できない有志連合

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