この記事は日経ビジネス電子版に『バイデン氏も想定外の「真犯人」 サプライチェーン混乱は長期化へ』(10月25日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』11月8日号に掲載するものです。

中国・アジアからの輸入品供給が滞り、米国内で品不足や物価上昇の懸念が急速に高まっている。サプライチェーン混乱の原因は、コロナ禍に端を発した人手不足によるコンテナ船の滞留だけではない。現場にはもっと根が深く解決が難しい課題があり、「混乱はあと1年は続くのでは」との声も聞かれる。

(写真=AP/アフロ)
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<span class="fontBold">品不足と物価上昇を懸念し供給網混乱の解決に動いたバイデン氏だが……</span>(写真=AFP/アフロ)
品不足と物価上昇を懸念し供給網混乱の解決に動いたバイデン氏だが……(写真=AFP/アフロ)

 「バイデンはちっとも現場のことが分かっていない!」──。10月半ば、米中西部にある日系自動車部品工場で、日本人の社長と米国人の副社長が憤りの声を上げていた。

 ジョー・バイデン米大統領が供給網混乱の解決に向けて開いた記者会見。目玉は、「最大のネック」とされるロサンゼルス港の荷降ろし作業を24時間・無休で稼働させることと、ウォルマートやフェデックスなどの小売り・物流大手と組んで人手を増やし、在庫を早く引き取ってもらうこと。しかし2人にとって、問題の解決につながるとは思えなかった。

 この部品工場では、中国や日本からの輸入部品はコンテナ船でロングビーチ港など西海岸の港に運び、そこから鉄道とトラックで運んでいた。

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