この記事は日経ビジネス電子版に『自動車大国でほぼ同時に新首相 日独のEVシフトはどうなる?』(9月28日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』10月11日号に掲載するものです。

9月26日投開票のドイツ総選挙では、投票が分散し2大政党が過半数を獲得できなかった。環境問題への関心の高まりから第3党の緑の党が得票率を伸ばし、連立政権の鍵を握る存在に。同党は2030年の実質エンジン車販売禁止を掲げるなど、先鋭的な政策で産業界を揺さぶっている。

<span class="fontBold">ドイツ総選挙で最も得票率を伸ばした緑の党の共同党首ベーアボック氏(左)とハーベック氏(右)</span>(写真=ロイター/アフロ)
ドイツ総選挙で最も得票率を伸ばした緑の党の共同党首ベーアボック氏(左)とハーベック氏(右)(写真=ロイター/アフロ)

 9月5日午後8時前。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)はミュンヘン市内の会場を貸し切り、ミュンヘン国際自動車ショーの前夜祭を開催しようとしていた。入場ゲートの前に環境NGO(非政府組織)「グリーンピース」が陣取り、同社の環境対応を批判する横断幕を掲げていた。

 そこに現れたのがVWのディース社長だ。抗議行動を無視することなく、活動家と身ぶり手ぶりで立ち話を交わした後に入場した。

 欧州では環境NGOの言動が一定の支持を受けており、経営者は環境NGOと対話の姿勢を見せなければステークホルダーの声を無視していると批判されかねない。26日に投開票があったドイツ総選挙でも、環境対策が大きな争点になった。

緑の党が第3党に躍進

 2017年の前回総選挙に比べ政党ごとの得票率に大きな変化があった。メルケル首相が所属する中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が得票率を落とし、中道左派である社会民主党(SPD)が得票率を伸ばし第1党になった。ただ、いずれも過半数には大きく届かず、連立政権を作らなければならない。

第1党が大きく議席を減らした
●ドイツ総選挙の得票率
<span class="fontSizeL">第1党が大きく議席を減らした</span><br />●ドイツ総選挙の得票率
出所:ドイツ選挙委員会
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