スペースXが初の民間人のみの宇宙飛行を成功させ、全米が歓喜に沸いている。一方で中国は着々と独自宇宙ステーションを建設し、他国との「仲間づくり」も進めている。2011年のスペースシャトル計画終了を機に民間依存に転じた米国。宇宙での覇権争いに勝てるのか。


スペースXが9月15日、「オール・シビリアン(クルー全員民間人)」の宇宙船の打ち上げを成功させた。18日に帰還した4人はテレビ番組などで宇宙の素晴らしさを伝えている。
民間人のみで地球周回軌道に到達したのは今回が初めて。高度は575kmで国際宇宙ステーション(ISS)が周回する約400kmよりも高い。人類が夢見てきた宇宙旅行への号砲。だが、米国にとってはそれ以上に大きな意義があった。宇宙での存在感を増す中国へのけん制効果だ。
米中間の緊張は宇宙でも高まっている。全地球測位システム(GPS)などの衛星がなければ実現できない米軍のハイテク戦略を封じ込めるため、中国やロシアは約20年前から宇宙での武装に注力し始めた。米国の衛星を電波などで無力化したり物理的に破壊したりできる衛星兵器を宇宙に送り込んでいるのだ。
事態はここ数カ月でさらに進展している。8月25日にコロラド州で開かれたシンポジウムで、米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は、「残念ながら我々は中国との宇宙競争に突入している」と話した。そのうえで、「(2024年に退役する予定だった)ISSでの政府プロジェクトを30年まで引き延ばす」と話した。
ISSは、米国が宇宙で各国と協力関係にあることを示す「平和の象徴」で、欧州11カ国に日本やカナダ、ロシアを加えた15カ国が参加する。11年の完成から10年が経過し24年にも寿命を迎える。運用を延長するのは、各国との協力関係を中国に奪われる可能性が出てきたからだ。
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6/20ウェビナー開催、「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」

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