この記事は日経ビジネス電子版に『追悼 キリンビール布施前社長が最後に語った風土改革への思い』(9月28日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』10月4日号に掲載するものです。

キリンビール社長を務めていた布施孝之氏が9月1日に61歳で急逝した。2015年の社長就任後、第三のビール「本麒麟」などのヒットを飛ばし、20年にビール市場首位を奪還した。メディアによる最後の取材となった7月末の本誌インタビューで、組織風土改革と社員への思いを語っていた。

<span class="fontBold">2015年にキリンビール社長に就任した布施孝之氏。実直な明るい性格で、社内外から慕われた</span>(写真=的野 弘路)
2015年にキリンビール社長に就任した布施孝之氏。実直な明るい性格で、社内外から慕われた(写真=的野 弘路)

 「僕がなぜこんなに組織風土に重きを置くかというと、社員がせっかく働くんだから、そこで幸せでやりがいのある豊かな人生を送ってほしいと思っているから。いい組織風土をつくってあげないと、それが実現できないじゃないですか。そこがトップとして一番強い思いです」

 9月1日に61歳で急逝したキリンビールの布施孝之前社長は、最後の取材対応となった7月末の本誌インタビューで、組織風土改革に力を尽くす理由をこう語った。1982年にキリンビールに入社し、小岩井乳業の社長などを経て2015年に社長に就任。17年からは、「布施改革」と呼ばれる風土改革に尽力してきた。

 トップに就いた当時、布施氏の目に映ったのは、業績が悪化する中で、責任を人に押し付ける「他責の風土」が社内に広がる様子だった。「こんな風土では絶対に良い業績は出せない。何よりも社員が生き生きと誇りを持って幸せに働けていなかった」

 17年10月の全社集会で、「他責はやめてノーサイドに」と、会社の変革を宣言。全国の支店や工場を行脚し、社員に「お客様のことを一生懸命考える組織になろう」「とにかくお客様を判断基準にする会社になっていこう」と繰り返し説いていった。消費者向け製品のメーカーにとって「顧客第一」の考え方は当たり前だ。だが、「本当にできているかどうかはまた別の話。恐らく圧倒的にできていない企業が多い」との意識があった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り572文字 / 全文1391文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。