この記事は日経ビジネス電子版に『東南アジアにデジタル通貨の普及を促す人民元の影』(9月21日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』9月27日号に掲載するものです。

東南アジアは近い将来、世界各国に先駆けてデジタル通貨が普及する地域になるかもしれない。移民労働者には欠かせないが犯罪に利用されやすい地下送金を代替するテクノロジーとして注目が集まる。デジタル人民元の導入を控えた中国の存在も普及に拍車をかけることになりそうだ。

<span class="fontBold">ミャンマーの金融は混乱し、市中では現金不足が深刻化した</span>(写真:AP/アフロ)
ミャンマーの金融は混乱し、市中では現金不足が深刻化した(写真:AP/アフロ)

 「着の身着のまま逃げてきたからお金がない」。8月中旬、ミャンマーの大学に通う知人から支援を求めるメッセージが届いた。今年2月にクーデターを起こした国軍に対するデモに積極的に参画してきたが、弾圧が厳しくなり近郊の農村に逃れて生活しているという。

 一般的なミャンマー人と同様に銀行口座を持たない学生は、タイの大手銀行の口座番号とQRコード、ミャンマー人らしき名前と携帯電話番号を記した画像を送ってきた。「この番号に電話してみてくれ」という。

 電話に出た男性は学生の名前と電話番号を聞くと「お金を振り込んでくれ」と話した。不安はあったが他に方法はない。指定された口座にタイ通貨バーツでお金を振り込んだ。10分ほどで学生から感謝のメッセージとともにミャンマーの通貨チャットの入金履歴を示すスマホ決済アプリの画像が届いた。

 これは金融機関を介さずに国境を超えたお金のやり取りを可能にする「地下送金」と呼ばれる手法で、移民労働者が稼いだお金を母国に送る際に一般的に利用されている。資金の流れがつかみにくく、犯罪に利用されやすい。

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