この記事は日経ビジネス電子版に『米ペイパルが決済ユニコーンを3000億円で買収、日本企業物色のなぜ』(9月8日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』9月20日号に掲載するものです。

米ペイパルが後払いサービスを手掛けるPaidy(ペイディ、東京・港)を3000億円で買収する。国内で数少ない「ユニコーン」は東証への上場ではなく、海外大手の傘下に入る道を選んだ。個人による引き受けが主流の「小粒上場」を続けるだけでは、新興企業の成長を加速できない。

(写真=ロイター/アフロ)
(写真=ロイター/アフロ)

 「東証への上場ではなく、まさか海外企業に持っていかれるとは。ペイディの売却劇は日本のスタートアップのエコシステムに往復ビンタを食らわせた」。ため息を漏らすのは、上場ベンチャーの成長支援を行うグロース・キャピタル(東京・港)の嶺井政人CEO(最高経営責任者)だ。

 米決済大手ペイパル・ホールディングスが9月7日、日本で後払いサービスを手掛けるペイディを3000億円で買収すると発表した。日本で数少ない「ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)」として、新興市場の活性化などを期待されていた企業だ。

 ペイディは電子商取引(EC)サイトで買い物をする際に、電話番号とメールアドレスを入力するだけで翌月にまとめて決済できる「後払いサービス」を手掛ける。海外では「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれ、成長期待が高いためスタートアップが相次ぎ誕生している。

 伸びしろが大きい領域で躍進する企業が高値で買われるのは自然の理。ではなぜ嶺井氏は「往復ビンタ」と表現したのか。そこには、日本のスタートアップの生態系が抱える問題点がある。

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