この記事は日経ビジネス電子版に『「株しか買えない」最高値 指標悪化、地政学リスクものともせず』(9月7日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』9月13日号に掲載するものです。
新型コロナウイルスの感染再拡大やアフガン情勢といった逆風をものともせず、世界的に株価が堅調だ。経済指標悪化や日本での首相交代といった評価が分かれるイベントを、金融市場はいいとこ取りで解釈している。行き場を失ったマネーが消去法的に株に向かっているが、カネ余りのひずみは一部で既に表出し、警戒は怠れない。
米国や欧州、日本などで株価が相次ぎ最高値を更新している。新型コロナウイルスの感染再拡大や新たな変異型の登場、アフガニスタン情勢の混迷、日本の首相退陣表明といった「事件」が相次いだにもかかわらずだ。ポジティブとは言えないイベントをいいとこ取りで解釈する市場の姿は、行き場を失ったマネーが消去法的に株に向かう様子を映す。
象徴的だったのが9月3日のニューヨーク市場の値動きだ。取引時間前に公表された米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比23万5000人増で、事前の市場予想の72万人を大きく下回った。景気敏感株の多いダウ工業株30種平均は下落して始まったが、その後は持ち直し下げ幅を縮小。ハイテク株が中心のナスダック総合株価指数に至っては、過去最高値を更新した。
利上げが遠のくとの期待感
経済回復の鈍化は企業業績の足かせとなるが、緩和的な金融環境を維持せざるを得なくなるとの期待につながる。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が8月27日の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で「年内実施が適当」と示した、テーパリング(量的緩和政策の縮小)が後ずれする、との思惑が生まれたわけだ。
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