この記事は日経ビジネス電子版に『実績ほぼゼロの電池新興に技術者100人、EVシフトという勝機』(8月2日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』8月9日号に掲載するものです。

EV(電気自動車)シフトの加速で電池関連のスタートアップに資金が集まりやすい環境になった。国内では80億円超の資本金を集め、ここ2年で技術者数を約3倍に増やす企業も出てきた。リチウムイオン電池の初期の発展を支えた技術者たちが中韓勢に対する巻き返しを狙う。

 売り上げがほとんどない国内の電池スタートアップが、技術者約100人という大企業並みの陣容を整えて攻勢をかけようとしている。2014年に設立された東京都立大学発のスリーダム(横浜市)だ。リチウムイオン電池の主要部材であるセパレーター(絶縁材)の量産を21年秋にも開始する計画で、生産設備の稼働準備を進めている。

<span class="fontBold">スリーダムが開発したリチウムイオン電池の試作品(上)と、独自の内部構造を持つセパレーター(左)</span>
スリーダムが開発したリチウムイオン電池の試作品(上)と、独自の内部構造を持つセパレーター(左)

 競争力の要と位置付けるのは、都立大の金村聖志教授(同社最高技術責任者)が開発した「三次元規則配列多孔構造」と呼ぶ技術だ。セパレーターにナノメートル単位の丸い穴を蜂の巣状に並べる構造により、電流分布を均一にできる。電池のエネルギー密度を高めるために負極にリチウム金属を用いても、ショート(短絡)の原因となる針状の金属結晶「デンドライト」の生成を抑えられるという。耐熱温度が高いため燃えにくいうえ、電解液をより多く充塡できるため電池の寿命が長くなる利点もある。

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