この記事は日経ビジネス電子版に『熱海土石流の法的責任はどこにあるか、今後を占う判例を読み解く』(7月29日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』8月9日号に掲載するものです。

7月3日に静岡県熱海市で発生し、多くの人命と財産を奪った大規模な土砂崩れ。起点付近で造成された「盛り土」が法令基準を大幅に超える高さであったと指摘されている。土木や不動産に詳しい秋野卓生弁護士に、造成地での土砂災害における責任について聞いた。

<span class="fontBold">静岡県熱海市の土石流災害現場</span>(写真=共同通信)
静岡県熱海市の土石流災害現場(写真=共同通信)

豪雨に伴う造成地での土石流の発生は人災とも考えられる。誰が法的責任を負うのか。

<span class="fontBold">秋野卓生弁護士は建築、土木に関する紛争処理に多く関与してきた。</span>
秋野卓生弁護士は建築、土木に関する紛争処理に多く関与してきた。

 土砂災害で第三者が損害を被った場合の法的責任は、主に「現在の土地所有者」「造成地を整備した施工事業者」「造成を許可した行政」の3者にある。

 林道工事に伴う残土処理のため山腹に設置した盛り土が豪雨で崩壊した奈良県の災害では、施工主体の町に国家賠償法2条の「営造物設置管理者責任」を肯定し被災者への賠償を命じた。ただ、熱海市の土砂災害では盛り土部分が私有地であるためこうした請求はできないだろう。

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