この記事は日経ビジネス電子版に『「野球を止めるな」 神宮球場で感染防ぐ知られざる中小企業』(7月13日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』7月19・26日号に掲載するものです。

茨城県の従業員数90人の企業が開発した抗菌剤がコロナ禍で引っ張りだこになっている。東京ヤクルトスワローズはクラブハウス入り口に自動噴霧器を設置。東武鉄道は駅の設備の抗菌に用いる。2008年に開発したものの売れ行きが伸びず、倉庫に放置されてきた製品が時機をとらえた。

 プロ野球・東京ヤクルトスワローズの本拠地、明治神宮野球場(東京・新宿)。クラブハウスの入り口に6月上旬、「菌・ウイルスを持ち込ませない!」と書かれたゲートが置かれた。

東京ヤクルトスワローズの選手やスタッフは抗菌ゲートを通ってクラブハウスに入る(写真=下:共同通信)

 「抗菌Qゲート」と名付けられたこのゲートは、人が通ったことをセンサーが感知して、ミスト状の抗菌剤を首から下の部分に自動で噴霧する設備だ。スワローズは新型コロナウイルスの感染防止のため、選手やスタッフにこのゲートの通過を義務付けた。衣類などに付いた菌やウイルスを不活化し、施設内に持ち込む菌・ウイルスを減らすためだ。

 ゲートと抗菌剤を開発したのは、染めQテクノロジィ(茨城県五霞町)という従業員数90人の企業だ。厨房や工場の床補修、鉄階段の防錆(ぼうせい)などに対応できる特殊塗料を主力とする。「高齢の方が肺炎で亡くなったという記事が目に留まり、我々の技術で何とかできないかと思った」(菱木貞夫社長)ことをきっかけに抗菌剤の開発に着手。社員のほぼ全員が研究者という研究開発力を生かして完成させた。

 塗料開発で磨いた「密着させる技術」を生かし、個別の菌に効く成分を複数組み合わせたのが特長だ。杏林大学や日本食品分析センターによる試験などを通じ、インフルエンザウイルスやノロウイルスを不活化する効能が4週間以上続くと確認できた。

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