この記事は日経ビジネス電子版に『東京五輪のCO2相殺 史上初でも知られていない理由』(6月30日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』7月5日号に掲載するものです。

東京都と埼玉県が6月4日、東京五輪によって生じるCO2を全量相殺できるクレジットを五輪組織委に寄付した。実は2つの意味で、「五輪史上初」の取り組みなのだが、社会的な認知度は驚くほど低い。開催自体が危ぶまれてきたことも一因だが、脱炭素時代の五輪のあり方を考えさせられる課題も透けて見えた。

<span class="fontBold">都と埼玉県は6月4日、五輪組織委に企業からのCO<sub>2</sub>削減クレジットを渡した</span>(写真=Tokyo 2020)
都と埼玉県は6月4日、五輪組織委に企業からのCO2削減クレジットを渡した(写真=Tokyo 2020)

 東京都と埼玉県は6月4日、東京五輪・パラリンピック組織委員会に都内・県内の企業から集めた二酸化炭素(CO2)の削減クレジットを受け渡した。

 五輪は世界最大のイベントの一つ。施設建設や運営、観客の移動などで大量のエネルギーを消費する。東京五輪で生じるCO2は約273万トンと試算されている。一方、都内153事業者、県内64事業者が提供したCO2削減クレジットは約438万トン。これを充当すれば、建設段階を含め東京五輪で生じるCO2を相殺(オフセット)できる。

 東京都と埼玉県は国に先駆けて、独自の排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード)を実施してきた。

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