この記事は日経ビジネス電子版に『需給逼迫で新電力に「試練の夏」 大手との情報格差も課題に』(6月8日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月21日号に掲載するものです。
ここ数年で最も厳しい──。こんな見通しが出た今夏の電力需給に新電力が戦々恐々としている。前の冬には深刻な需給逼迫により、電気の調達不足や仕入れ価格高騰が新電力を直撃。倒産や取引停止が続発した。「厳冬」の悪夢が再燃しないよう、電力業界全体で試練の夏に臨む必要がある。

「もっと仕入れ先を多様化できないだろうか」「もう一度シミュレーションを見直したほうがいい」──。みんな電力の本社オフィス(東京・世田谷)では連日、大石英司最高経営責任者(CEO)を筆頭に今夏の電力調達対策について激論を交わしている。みんな電力は再生可能エネルギーの電気を事業者から買い取って一般家庭に販売する新電力スタートアップだ。
危機感を募らせるのは今夏、電力需給がここ数年で最もタイトになりそうだからだ。供給力の余裕度を示す予備率は、北海道と沖縄を除くエリアで7月に3.7%。8月は3.8%を見込む。安定供給には3%が最低ラインとあって綱渡りになる。
背景には火力発電所の相次ぐ休廃止や原発の再稼働が進んでいないことがある。新電力各社が思い起こすのが、2020年の終わりから21年の年初にかけての「冬の悪夢」だ。火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)不足から電力会社の発電コストが急増。日本卸電力取引所(JEPX)でのスポット価格が高騰し、その価格連動で電気を仕入れる新電力が苦境に立たされた。
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