この記事は日経ビジネス電子版に『中国、人民元高のジレンマ 輸出維持と物価抑制で板挟み』(6月14日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月21日号に掲載するものです。

コロナ禍から一足早く抜け出し、経済の「一人勝ち」を理由に好調な輸出が続いていた中国。だが世界経済が正常化するのに伴い、人民元高が輸出の国際競争力をそぐ懸念が浮上してきた。元高は資源高で上昇する輸入物価を引き下げる効果もあるだけに、中国政府は対応に苦慮している。

輸出は好調を維持しているが、伸びは鈍化し始めている(写真=AFP/アフロ)

 人民元の対ドル相場が高値で推移している。コロナショックからいち早く経済回復に向かったことや、米国の超低金利政策の影響で、人民元はこの1年で大きく上昇した。2020年6月の1ドル=7.0元台から足元は1ドル=6.4元前後で推移しており、18年以来の高値圏にある。各国の中央銀行が金融緩和を継続していることもあり、世界の投資マネーが中国に向かう勢いは止まらない。

 人民元高は輸出産業の国際競争力をそぐだけに、従来の中国政府であれば何らかの元高抑制策を打ってもおかしくなかった。しかし、世界経済がコロナショックで低迷する中、中国経済の「一人勝ち」状態が続いていたため、元高下でも輸出は好調だった。中国政府も元高を黙認する姿勢を示していた。

 だがここにきて、輸出の伸びに変化が見られ始めている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り914文字 / 全文1487文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。