この記事は日経ビジネス電子版に『30年にEV急速充電器4倍 豊田社長「数だけではダメ」の真意』(6月7日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月14日号に掲載するものです。

政府が成長戦略で示した「2030年までに電気自動車(EV)向け急速充電器を3万基設置する」という目標。トヨタ自動車の豊田章男社長は感謝しつつも「設置だけを目標にしてほしくない」と注文をつけた。初期に設置した充電器が更新期を迎えた今、そのまま撤去する事例も増えているからだ。

<span class="fontBold">EVでの長距離移動に欠かせない公共の急速充電器は全国に約8000基ある</span>(写真=アフロ)
EVでの長距離移動に欠かせない公共の急速充電器は全国に約8000基ある(写真=アフロ)

 6月3日、オンラインで開催された日本自動車工業会(自工会)の定例会見に出席した豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、「インフラもセットで取り入れていただいたことはありがたい」と政府が掲げたEV向け充電器の設置目標に感謝の意を示した。ただ、「数だけを目標にすると稼働率が低くなりかねない。設置だけを目標にしてほしくない」との注文もつけた。

 30分~1時間程度で約80%まで充電できる急速充電器は、長距離移動の際に欠かせない。地図大手のゼンリンが集計した公共の急速充電器は21年3月末時点で7893基。この数を4倍に増やし、全国に約3万カ所あるガソリンスタンド並みの利便性を実現する考えだ。35年に国内の乗用車の新車販売を全て電動車にする目標を掲げるなか、インフラの整備をさらに進めるべきだと判断した。

 国内で公共の充電器の整備が本格的に始まったのは12年ごろ。充電器や設置工事費に対する大規模な補助金制度も始まり、道の駅やショッピングセンター、宿泊施設などに設置が拡大。充電器の数は順調に増加してきた。

 ところが21年3月、国内の充電器の数が前年比で初めて減少に転じた。ゼンリンによると、20年3月末時点では普通充電器と急速充電器を合わせて3万基超あったが、21年3月末には2万9233基と約1000基減少した。

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