この記事は日経ビジネス電子版に『国の半導体研究支援、「TSMC御用達」のうまみはどこまで?』(6月4日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月14日号に掲載するものです。

先端半導体の製造でトップをひた走る、半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)。そのTSMCの「ご指名」で集まった20社超の日本企業との共同研究を経済産業省が支援する。日本の材料や装置のメーカーは「相当なうまみがある」と期待を寄せるが、懸念も残る。

<span class="fontBold">TSMCは茨城県で日本企業20社超と研究開発を進める</span>(写真=ロイター/アフロ)
TSMCは茨城県で日本企業20社超と研究開発を進める(写真=ロイター/アフロ)

 3月に研究開発会社を日本に設立したTSMCが取り組むのは、先端半導体に使う「3次元実装技術」の研究開発だ。茨城県つくば市の産業技術総合研究所の拠点にあるクリーンルームに検証ラインを設置し、日本の企業や研究機関と共同で実施する。経産省は5年間で190億円の支援をする。

 このプロジェクトに「TSMCからのご指名」(材料メーカー)で集まったのが、20社超の日本企業。新光電気工業やイビデンなどの加工企業、富士フイルム、三井化学、旭化成、JSR、日東電工などの材料メーカー、芝浦メカトロニクスやディスコ、島津製作所などの装置メーカーが顔をそろえた。

 異なる機能を持つ複数の半導体チップを1つのパッケージ内で積み重ねる技術の開発に取り組む。回路線幅を細くして素子の集積密度を高める微細化が物理的限界に迫るなか、付加価値が小さいと見なされてきた半導体製造の「後工程」が性能向上のカギとなりつつあるからだ。英オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、「高速コンピューティングのための半導体の進化を支えるのが3次元実装技術」と指摘する。

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