この記事は日経ビジネス電子版に『米油送管停止でパニック、社会全体がサイバー犯罪者の「人質」に』(5月14日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月24日号に掲載するものです。

ハッカー集団がサイバー攻撃で米国の石油パイプラインを停止させ、復旧する見返りに「身代金」を要求した。石油に依存した社会が「人質」に取られた格好だ。心配した米市民が給油所に殺到する騒ぎとなった。個人から企業へ標的を広げ凶悪化したサイバー犯罪者が、ついに社会を混乱に陥れる時代へと突入した。

 5月12日、サイバー攻撃によって止まっていた米東海岸地区の石油パイプラインが再稼働した。停止した5月7日以降、ガソリンの枯渇を恐れた米市民が「パニック買い」に走り、米南東部を中心に給油所で在庫切れが相次いだ。米連邦捜査局(FBI)はロシアを拠点とするハッカー集団「ダークサイド」の仕業と断定した。

米南東部ではガソリンを手に入れようと給油所に長い列ができた(写真=AP/アフロ)

 ダークサイドは「ランサム(身代金)ウエア」と呼ばれるコンピューターウイルスを使って、パイプライン運営会社の米コロニアル・パイプラインを襲った。感染するとパソコンやサーバー内のデータが壊れ、「元に戻してほしければ金銭を支払え」とのメッセージが画面に現れるタイプのウイルスだ。

 ダークサイドは石油に依存した社会生活を人質に、コロニアルに身代金の支払いを強要した格好だ。ランサムウエアを使ったサイバー犯罪の凶悪化が、行き着くところまで行ってしまった。

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