政府が緊急事態宣言の延長と対象地域の拡大を決め、飲食店はさらなる苦境に立たされている。時短営業と酒類の提供禁止が5月末まで延長となる中、自治体の点検に対する疑心暗鬼も広がっている。感染を食い止めるには飲食店の協力が重要だが、高まる不満に配慮した対応が欠かせなくなっている。

●東京都が飲食店の見回りで点検する5分野
(写真=共同通信)

 5月初旬、東京都港区の隠れ家のような日本料理店。午後5時の開店からまもなく、友人と店を訪れた谷綾子さん(仮名、42歳)がカウンターで料理を待っていると、店の入り口で中の様子をうかがう1人の男性の姿に気づいた。

 スーツを着た男性は首から提げた身分証を示しながら、東京都からの委託を受け、新型コロナウイルスの感染対策の状況について点検に来たと説明する。店主は前菜の盛り付けを諦めて応対し、「店内にお客さまがいらっしゃるので」と出直すように求めた。

 谷さんは「その後はおいしく料理を頂き、とても楽しかったけれど、やはり気分のいいものではなかった。飲酒していると疑われているような感じがするからでしょうか」と述懐する。

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