この記事は日経ビジネス電子版に『ダイムラー株売却でゴーン体制清算も、日産自動車を待つ難路』(5月11日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月17日号に掲載するものです。

日産自動車は5月5日、保有する独ダイムラー株を全て売却すると発表した。ゴーン体制下で結んだ資本・業務提携を縮小し、電気自動車(EV)の強化などに資金を振り向ける。ただし、日産が先導してきたはずのEV市場は完全なレッドオーシャンと化している。

日産は上海モーターショーで、戦略車種の新型「エクストレイル」を発表。中国市場が命運を握る(写真=AP/アフロ)

 元会長のカルロス・ゴーン被告が残したレガシー(遺産)。その清算を日産自動車が一段進めることになった。5月5日、日産は保有するダイムラー株を全て売却すると発表。日産とアライアンスを組む仏ルノーは3月にダイムラー株を売却済みだ。なお、ダイムラーは保有する日産・ルノー株の扱いについて意向を示していない。

 日産・ルノーがダイムラーと資本・業務提携を交わしたのは2010年のこと。それぞれがダイムラーの発行済み株式の約1.5%を取得。ダイムラーも日産とルノーに3.1%ずつを出資した。

 ダイムラーのディーター・ツェッチェ元社長と、ルノーと日産のトップを兼任していたゴーン被告との個人的な関係が礎となった。世界販売台数で独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車に肩を並べるために、「独仏2社の主導で、規模を追求した提携」(業界関係者)との見方が強かった。

 ところが、「11年に及ぶ提携によって『成功した』と言える案件はただの1つもない」。SBI証券の遠藤功治企業調査部長はこう指摘する。小型高級車の生産拠点として合弁で立ち上げたメキシコの工場は販売不振で低稼働のまま。日産の「スカイライン」にダイムラー製のエンジンを採用したが、それも一時的な取り組みで終わった。「ダイムラーは日産のパートナーというより『主人』という意識が強かったのではないか」(遠藤氏)

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