新型コロナウイルスの感染拡大により、デジタル技術を最大限に生かした「売り方改革」が始まった。AR(拡張現実)を使った試着や、百貨店そのものをVR(仮想現実)化するという発想だ。密を避けて商品を試す「バーチャルショッピング」。リアル販売を超える魅力を引き出せるかが小売りの競争軸になる。

「Vミラー」でランドセルを選ぶ親子。イトーヨーカドー大和鶴間店はARを使ったバーチャル試着を導入した
試したい化粧品を選ぶだけでメークの色味を確認できる(上)。画面の指示に沿って採寸し、気になる服を選ぶと“試着”できる(下)

 神奈川県大和市のイトーヨーカドー大和鶴間店。ランドセルが並んだ売り場で、母親と就学前の娘はランドセルに向かわず、デジタルサイネージに近寄った。赤、青、ピンク。色とりどりのランドセルの画像から1つをタッチすると、ランドセルを背負った姿が瞬時に映し出される。商品を手に取らず、バーチャル上で“試着”していた。

 4月23日の同店の改装オープンに合わせ、イトーヨーカ堂は試着体験ができる「Vミラー」を8台設置した。現実の風景にデジタルの絵や写真を加え、視認できるARの技術を使っている。メークをした顔や、服のコーディネートもディスプレー上でチェックできる。

 「省人化や無人化が狙いではない。リアルの買い物体験を楽しんでもらうデジタル活用に力を入れた」。梅津尚宏執行役員ライフスタイル事業部長は言う。

赤字ゆえのイノベーション

 いろいろな商品を試せるリアル店舗の良さとコロナ禍でニーズが高まる非対面接客を組み合わせた「バーチャル試着」。化粧品であれば肌に塗らずに使用感を確認でき、服であれば試着室で着替えなくても似合うかどうかが分かる。服の採寸は画面の指示に従ってポーズをとるだけで完了し、サイズも提案してくれる。自分に合ったアイテムをゲーム感覚で、素早く見つけられる。近くに商品が並んでいるため、気に入ったら実物を見て購入できる。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1252文字 / 全文1966文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。