この記事は日経ビジネス電子版に『温暖化ガス46%減目標 脱「積み上げ」に揺れる産業界』(4月23日)として配信した記事を雑誌『日経ビジネス』5月3日号に掲載するものです。

2030年の温暖化ガス削減について、菅義偉首相は13年比46%減にするとの目標を打ち出した。従来型の「積み上げ式」では届かない目標をあえて設定し、イノベーションを誘導する方向に賭けた。対応を間違えば日本企業が国際供給網から締め出されかねないからだが、産業界では歓迎と戸惑いが入り交じる。

気候変動に関するオンライン首脳会合で、画面(右)に映る菅首相。左端はバイデン米大統領(写真=共同通信)

 「積み上げの議論だけではない」──。

 4月22日夜、小泉進次郎環境相は2030年の温暖化ガス削減目標を従来の13年比26%減から46%減へ引き上げた背景についてこう語った。従来の経済産業省が重視してきた「積み上げ式」は、投入できる政策から実現可能な目標を定める。ところが国際的な温暖化対策の枠組みであるパリ協定では、各国が挑戦的な数値を示す。日本が「消極的」と見られると、国際的なサプライチェーンで締め出されるリスクも現実味を帯びていた。

 英国は35年までに1990年比で温暖化ガス排出を78%減にすると発表。22日の気候変動サミットでジョンソン首相は「明らかに政治的挑戦」と語った。各国首脳が連発したのは「ambition(野心)」という単語。高い目標を掲げ企業に対応を求めるが、この競争は地政学と複雑に絡んでいる。

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